恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました


「なるほど。それなら話は早い。里穂子はもう、うちの家政婦ではない。俺の妻だ。そう思って行動すればいい」


 筧さんの声で『俺の妻だ』なんて言われて、どきりとしない女性はいないのではないだろうか。

 気づかれないように、平静を装い、返す言葉を探す。


「それは例えば……ご飯を一緒に食べるとか、そういうことですよね?」

「ああ、そうだ。婚姻届も、今日帰れば届いていると思う。手配しておいたんだ」


 婚姻届──本格的なフレーズに怯みそうになる。

 本当に、届を提出して筧さんと夫婦という関係になるのだと思うと、やっぱり落ち着いてはいられない。


「それから、明日は休みを取った。里穂子のご実家に挨拶に伺いたい。急で悪いが、ご両親の予定を聞いてもらえるか?」

「うっ、うちにですか?」

「ああ、籍を入れるんだ。あたり前だろう」

「えっと。明日は週末ですし、ふたりとも基本的に家にいると思いますが……」


 結婚するのなら、私たち当人同士だけの問題ではない。互いの両親、家族も関係してくる話だ。

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