恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「いったいなんなんだ、今日は厄日なのか?」
取引失敗で苛ついているところに、この災難。
湯島くんの気分は最悪の状態だろう。
「ほんと、お前と一緒だとロクなことが起きないよな」
辛辣な言葉と共に、舌打ちが聞こえ、また無駄にボタンが連打される。苛立ちがあからさまで、思わず口を開いた。
「湯島くんっ──」
どうしたらいいのかわからず声をかけたところで、真横に人の気配を感じた。
「少し落ち着きませんか」
騒ぐ湯島くんにかけられたのは、対照的な穏やかな声。
いつの間にか私の横に立っていたのは、エレベーターに先に乗っていた男性。
すぐそばに立たれると高身長で、百六十センチあるかないかの私からでは顔を上向けないといけないほどだ。
前に立つ湯島くんが百七十二センチだったはずだから、きっと百八十センチ以上あるに違いない。
見上げた横顔は鼻筋が通り美しく整っていて、不意にハッと息を呑んでしまった。