恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました


 私も、帰宅したら実家に連絡を入れなくてはならない。

 結婚することになりました……いきなりそんなことを言われたら両親は倒れてしまうのではないか。

 今年の年始にはなにも言ってなかったのに、半年もしないうちに帰省してきたと思ったら、結婚するだなんて話をされるのだ。

 しかも、相手は普通のサラリーマンなどではない。不動産業界トップを争う筧地所グループの代表取締役社長なのだ。

 なにがどうなって結婚することになったのかと問い詰められるに違いない。

 でも、偽装だということ、彰人さんが必要なときまでの関係ということは口が裂けても言えない。


 やがて車は都内に入り、住まいのマンションまで戻ってくる。

 彰人さんはエントランス前の車寄せで車を停車させた。


「ありがとうございました」


 シートベルトを外し、バッグを手にする。


「ここまでで悪いな。部屋まで送り届けないで」

「いえ! その必要はありません。こんな目の前まで送り届けてもらって、逆に申し訳ないくらいです」


 ドアを開けようとしたところで「里穂子」と彰人さん側の腕を取られる。

 振り向いて、いつの間にかすぐそばに迫っていた彰人さんの綺麗な顔がドアップで目に映り、ハッと息を呑んだ。

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