恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
だが、事態は急変。彼女の心身を守るため、妻になってもらうと話を押し進めた。
時に苦しみ、捨て去りたくなる地位も名誉も、里穂子を守るためになるなら喜んで振りかざそうと思えた。
あんな品位に欠けた言葉を浴びせられる環境に、これ以上彼女を通わせるわけにはいかない。
ばったり 出会ったエレベーターで、衝動に突き動かされて彼女の腕を取ったときと似た感覚だった。
それに、しつこい縁談話から逃れたいと思っていたことも本音だ。
「──お久しぶりです、筧です。明日なのですが、羽田から、和歌山の南紀白浜空港までお願いしたいのですが……ええ、午前でお願いしたい」
電話応対中、雪島が部屋に戻ってくる。
先ほどの会議の件で報告があるのだろう。通話を終えると「失礼します」とデスクの前に近付いてきた。