恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「私は、どちらかというと社長側のご両親……会長夫妻にご納得いただけるかということにいささか心配があります。特に、登美子様の……」
雪島からの指摘に、途端に気持ちが陰る。まったく同じことが常に引っかかっているからだ。
「ああ、その問題に関してはずっと考えている」
「ちょうど昨日も、登美子様にばったりお会いして、次の社長のお見合いの件について話をされたばかりです」
「またか。もう勘弁してくれ」
つい本音がぽろりと出てしまう。
俺の反応を見て、雪島は小さくうなずいた。
「そう仰ることは承知のうえでしたので、登美子様にはあたり障りなく対応させていただきました」
「そうか、助かる。近いうちに、両親には結婚すると決めた相手がいると紹介する。そうすれば、少しは静かになるだろう」
「納得していただければいいのですが……いえ、納得していただかなくてはなりませんね」
力強く意気込んだ雪島は、俺を見て微笑を浮かべる。
「出すぎたことは承知で、あえて言わせていただきますが……ここのところの社長の様子を、私は密かにうれしく思っております」
「……? どういうことだ」
「普段以上に、軽やかで生き生きされていると。それはきっと、里穂子様との関係が始まってからだと思っております」