恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
思わぬことを雪島の口から聞き、一瞬反応に困って固まってしまう。
同時に、雪島にはここのところの俺がそんなふうに映っていたと知ると、心なしか若干羞恥が押し寄せた。
でも、雪島の言っていることはきっと間違いではない。
自分自身でも、それはなんとなく感じている。
里穂子がそばにいるようになってから、俺の世界に新しい色が追加された。
それは今まで知らなかった、温かく柔らかい、心地のいい色。
「本当に、雪島は俺のことをよく観察してるな」
ふっと笑って観念したようにそう言ってみると、雪島はなぜかうれしそうに笑みを浮かべる。
「最高のお褒めの言葉をありがとうございます。ですので、私は社長と里穂子様のことを陰ながら支え、応援していく所存です」
「ああ、頼もしいな」
「私はいかなるときでも社長のために動きますので、なんなりとお申し付けください」
雪島の心強い言葉に感謝し、さっきまで一緒にいた里穂子のことを思い返す。
一緒にいる時間が増えていくにつれ、彼女の新しい一面を知っていく。
今日もこの数時間でいろいろな姿を目にし、別れ際まだそばにいたいと自然とそう思った。
本当はまだ一緒にいたかった。離れる時間が惜しいと思うと、自然と彼女に触れていた。
ほのかに頬を紅潮させながらも毅然とした態度で見送ってくれた里穂子の姿を思い返し、ついひとりくすっと笑みをこぼしていた。