恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「寝覚めの悪いことはよくあるのか」
「いえ……これまでは、なかったです」
あんな悪夢、今までみたことはない。うなされて起きることなんてこれまでなかった。起きた瞬間に動悸がするなんてはじめてのことだ。
「そうか。もし続くようなら、医師に診てもらおう」
「え……そんなに重症でしょうか」
「睡眠に支障が出るのは、体にもよくないからな」
彰人さんは私を解放し、おもむろにベッドを起き上がる。
その姿を前にしながら、いけない!とハッとした。
今、いったい何時なのだろう。
彰人さんより早く起きて朝食の準備をしなくてはならないのに、寝過ごしたのかもしれない。
慌ててスマートフォンを手にすると、時刻は六時二十分と表示されていた。
「ごめんなさい! めちゃくちゃ寝坊してしまいました」
勢いよくベッドを飛び出そうとしたところで、背後から手首を取られる。