恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました


「寝覚めの悪いことはよくあるのか」

「いえ……これまでは、なかったです」


 あんな悪夢、今までみたことはない。うなされて起きることなんてこれまでなかった。起きた瞬間に動悸がするなんてはじめてのことだ。


「そうか。もし続くようなら、医師に診てもらおう」

「え……そんなに重症でしょうか」

「睡眠に支障が出るのは、体にもよくないからな」


 彰人さんは私を解放し、おもむろにベッドを起き上がる。

 その姿を前にしながら、いけない!とハッとした。

 今、いったい何時なのだろう。

 彰人さんより早く起きて朝食の準備をしなくてはならないのに、寝過ごしたのかもしれない。

 慌ててスマートフォンを手にすると、時刻は六時二十分と表示されていた。


「ごめんなさい! めちゃくちゃ寝坊してしまいました」


 勢いよくベッドを飛び出そうとしたところで、背後から手首を取られる。

< 143 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop