恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました


 車でマンションを出たのは、十時前。

 運転をする彰人さんは、今日はブラックのスリーピース。

 家政婦として働きはじめてから、クリーニングサービスから戻ったものを仕舞っている。クローゼットの中には必要があれば入っているけれど、スーツはずらりと並んでいるし、シャツやネクタイは数えきれないほどあった。

 日によって、遊び心のあるシャツやネクタイなどオシャレにコーディネートされているけれど、今日は私の実家に挨拶に行くというのもあってか、正統派なブラックスーツだ。

 私はというと、ブラックのギンガムチェックのミディアフレアスカートに、ホワイトの薄手のニットという装い。

 移動時間も長いだろうし、あまり窮屈じゃない格好を選んだ。

 東京から和歌山までどのような手段で向かうのか聞いていなかったけれど、出発した時間から考えて新幹線か飛行機だろうと予想する。

 やがて、車は羽田空港方面へと向かっていった。

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