恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「飛行機で向かうんですね?」
「時間は限られているからな。有効に使わないと」
そんな言葉がさらりと出てくることに圧倒される。さすが、日々多忙を極める大会社のトップだ。
羽田空港は、東京に出てきてから仕事を含めて何度か利用したことはある。
でも、私の知っている空港駐車場ではない方面に向かって彰人さんは車を走らせる。
入っていったのは、空港直結のホテルの駐車場。どうしてこんな場所に車を停めるのかと不思議に思いながら、彰人さんに従って降車する。
彰人さんの身分や、車が高級車ということもあって、この場所を駐車場として特別に借りているのかもしれない。そんなふうに自分なりに解釈し、あとに続く。
しかし、ホテルの一階で見えた文字に目を疑う。〝ビジネスジェット専用ゲート〟と書いてあるのだ。
「あ、あの、彰人さん。ここは……?」
「昨日、急なことで厳しいかとも思ったけど、和歌山まで飛ぶ都合をつけてもらえたんだ」
ちょっと待って。嘘でしょ……?
まさかと思っているうちに、誰もいない待合ロビーに連れていかれる。
彰人さんはひとり受付カウンターへと出向き、空港スタッフとなにかやりと りを交わすと、すぐに「里穂子」と私を呼んだ。