恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「大丈夫か」
「え……?」
私より先に声を発したのは彼のほうで、なにを言われたのか理解する間もなく口からは「は、はい!」と返事が出ていた。
「大丈夫です、すみません」
あんなやりとりを目の前で見せられたのだ。他人だとしても、まともな人なら気にして声をかけてしまうかもしれない。
それくらい、ひどく罵倒されたということだ。
私の『大丈夫』の言葉で、掴まれていた手が離される。
「ごめんなさい、ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げ、「失礼します」とその場を後あとにした。