恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「私だって、そばに置いてもらって、彰人さんのこと……だけど、それはダメだから」
「ダメ? なぜ」
真っすぐな視線に射抜かれる。
「私などが、惹かれたり、好きになったりしてはいけない方だからです。身分が違いすぎる」
「そんなこと関係ない。君の前では、俺だってただの男だ」
言い返された言葉にどきりと心臓がひと際大きく脈打つ。
そんなこと言われたら、ごまかしていた気持ちがもう隠せなくなる。
「里穂子、好きだ」
彰人さんを見つめたまま、気づけば目尻から涙がひと筋流れ落ちていた。
一度流れはじめると、涙は左右の目から交互に落ちて止まらなくなる。
「ごめんなさい、私、泣くつもりでは……」
私を見つめる彰人さんの顔が、心配そうなものに変化する。
これは、決して負の感情から出る涙ではない。それを伝えたくて涙に濡れた顔に笑みを浮かべた。
「うれしくって……私が、彰人さんのそんな素敵な気持ちを、受け止めていいのかなって、戸惑いの涙で」
そこまで言ったときには席を立った彰人さんが私のもとまで来ていて、腕を取られて抱きしめられていた。