恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
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枕に横になった頬にそっと手で触れる。
安らかな寝息を聞きながら、伏せられた長い睫毛を見つめていた。
思わずふっと笑みが溢れる。
飽きずにいつまでだって見ていられる。そんなふうに思うのは、彼女のことが愛しくて仕方ないからだろう。
自分でも不思議なほど、彼女をそばに置いてから感情が激しく動かされた。
はじめは救いの手を差しのべたいという、ほんのわずかな好意だった。
そして、それは自分のためでもあった。
今思えば、はじまった関係は、彼女を助けながらも自分のために利用するような最低な思いつきだったのかもしれない。
しかし、彼女と共にする時間が増えて、庇護欲は高まり、そしてこの手で彼女を幸せにしたいとはっきり思うようになっていた。
それは、俺にはない彼女の持つ人柄に惹かれたことがなにより大きい。
もっと彼女を知りたい、一番近くで見守りたいと、無意識に願っていたのだろう。
「里穂子……」
眠る彼女の名を呼び、きめ細やかな肌を撫でる。さらりと流れてきた髪を、そっと耳にかけた。
これからも彼女が、こんな風に安心した顔をしてぐっすり眠れるように、ずっと寄り添って守っていきたい。
その誓いと共に、柔い頬にキスを落とした。