恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
お義母様……?
まさかの来客に、心拍が跳ね上がる。
こちらの応答をエントランスで待っているお義母様に、急かされるような形で通話に応じた。
「お待たせしました」
私の声を聞いたお義母様の表情は変わらず無のまま。緊張が高まる。
「あの、彰人さんは現在出張中でして、こちらには今──」
「知ってるわ」
私の声を遮り、ぴしゃりと言い返される。
「今日は、あなたに話があって来たの。開けてちょうだい」
彰人さんではなく、私に話があって訪問してきたというお義母様に、慌てて「わかりました!」と返事をしてエントランスを解錠する。
画面の向こうからその姿が消えると、突然の展開にその場でおろおろしてしまった。
あのパーティーのとき以来、彰人さんの都合もつかず改まった席で挨拶ができていないお義母様。その存在はずっと気がかりのまま、今日に至っていた。
彰人さんが不在と知っている中、わざわざマンションを訪問して私に話があると言われ、落ち着いてはいられない。
刻一刻と迫るお義母様の訪問に、慌ててキッチンに飛び込む。
煎茶がいいのか、紅茶がいいのか。好みもわからずとりあえず両方出せるように支度をする。
そんなことをしているうちに部屋前のインターフォンが鳴らされ、慌ててキッチンを出て玄関に向かった。
お待たせしてはいけないと思い、急いでドアを開ける。