恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「こんにちは。お待たせしました!」
とろみ素材のベージュのボウタイブラウスに、ブラックのミディアム丈フレアスカートを身に纏ったお義母様は、今日は胸下まである黒髪を下ろしている。
私と直接対面しても無表情のまま、「お邪魔するわ」と玄関扉の内側に入った。
来客用のスリッパを出しそびれていたことにすぐに気づき、冷や汗をかきながらスリッパを用意する。
「どうぞ、こちらです」
先導してリビングへと向かい、ソファー席に案内した。
「今、お茶を用意させていただきます」
「いらないわ。お構いなく」
煎茶か紅茶か、どちらがお好きか伺う前に提供を拒否される。
それでも、なにも出さないわけにはいかないと思い、キッチンに入ろうとした背中に「かけてちょうだい」と声が刺さった。
もしかしたら、急いでいるのかもしれない。用件だけ話して帰りたいのなら、お茶を出される時間も惜しいだろう。
お義母様の声に従って、ソファーに腰を落ち着ける。