恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
お義母様の姿をインターフォンの応答画面で見たときから、たぶんきっとそんな話をしにきたのだろうと頭のどこかでは薄々勘付いていた。
でも、いざそんな言葉をかけられると返す言葉が見つからない。
「どうしてこんな話をわざわざ私がしにくるのか、あなたも大学を出るくらいの頭があればわかるでしょう? あなたじゃ無理なのよ、彰人の妻を務めるのは」
はっきりと〝無理〟と言われ、ますます言葉が出てこない。
私では務まらない。お義母様がそう言うのは、どうすることもできない生い立ち、身分差のことだろう。
それは私もずっと引っかかっていたことだ。
「彰人はね、その辺の男性とはわけが違うのよ。生い立ちだって、これまでの功績だって、筧地所の命運を握る人間なのよ。背負っているものが違うの」
「はい……重々、承知しています」
やっと出せた声は蚊の鳴くような声で弱弱しい。
お義母様は顔色ひとつ変えず、厳しい視線で私を見つめた。
「社長夫人、会長夫人になるような女性はね、生まれた瞬間からもう決まっているようなものなのよ? 家柄がよくて、きちんとした教養を身に着け、もちろん立ち姿も美しくて」