恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「麗香さんが彰人さんと話がしたいそうよ」
母に隠れるようにして佇んでいたのは、この頃、母とやたら一緒にいることの多い大手銀行頭取の娘。
雪島からの情報では、母はこの女性との縁談を企てているという。
三十歳を過ぎたころから結婚の催促がうるさいが、この頃それが激化している。
シャンパンゴールドのドレスに身を包み、笑顔を浮かべてぺこりと頭を下げる。
俺にどうにか気に入ってもらおうという思惑が透けているようで内心うんざりしたものの、微笑を浮かべて頭を下げた。
「彰人さん、ご無沙汰しております」
「こんにちは」
目の前に浮かぶ笑顔を見ても、それはぼやけていてよくわからない。
はっきりと目の中に残っているのは、今さっきエレベーターで引き留めた彼女の、無理矢理作った笑顔だけだった。