恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「彰人さん、いい加減目を覚ましなさい。少し冷静になったら、自分が馬鹿だったと気づくはずよ」
「その言葉、そっくりそのままお返しします」
「なっ……そんな、名家でもない、どこの馬の骨かもわからない女性に捕まって、血迷って、私がどれだけ心配しているのか──」
「俺のことはどうとでも言えばいい。でも、里穂子を、彼女を生み育ててくださったご両親を侮辱するような発言は撤回していただきたい」
お義母様の言葉を受け、彰人さんははっきりとした強い口調でそう言い返す。
私を、そして両親のことまでもそんなふうに言ってくれたことに、胸が締め付けられる。
「それからもうひとつ、彼女を捕まえたのは俺のほうです。里穂子は、あなたが言うように家柄や身分を気にしていた。それは未だに変わらないほどです。だけど、俺にはそんなこと関係ない。関係すると騒ぐのであれば、俺は筧地所を後継しない」
えっ……。
私が驚愕したのと同様に、ご両親も同じ衝撃を受けたのだろう。
「彰人さんっ」
思わず声をあげてしまった私に、彰人さんは黙って手振りで〝大丈夫〟を示す。