恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「彰人、どういうことなんだ。私は君たちの結婚に反対していない。登美子、君が彰人と里穂子さんの関係に口を出しすぎるから、こんなことを言い出したんじゃないのか?」
「私は! 筧を後継する彰人さん には、ちゃんとした家柄の女性と一緒になってもらいたくて」
「名家のお嬢さんなら誰でも、君の言う〝ちゃんとしている〟女性なのか? そんなことはないぞ。里穂子さんは、彰人が選んだ女性なんだ。どうして信じてやれない」
今度はご両親が言い合いになり、ますます身の置き場がなくなりそうになる。
そんな状況の中、彰人さんが口を開いた。
「認めていただけないのなら、俺は今の役職を降り、筧グループを離れます。地位も名誉も財産も捨て、一から里穂子と人生をやり直す」
「待ってくれ彰人、私はふたりの結婚に反対はしていない。登美子、君もなにか言いなさい」
「なにかって、私は──」
言い合うふたりを前に、彰人さんが「今後どうするのかは」と話に割って入る。
「また改めて連絡をください。今日のところは、失礼します」
彰人さんは私の手を取り「行こう」と引く。
去り際、ご両親に向かって「失礼いたします」と頭を下げた。