恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
普段のお昼休憩から少しずれた時間だからか、オフィスからほど近い人気の定食屋に並ばずに入店できた。
ランチタイムの十二時に訪れると、お店の外にまで列ができている日もあるなかなかの人気店だ。
入口から入ってすぐのところで食券を買い求める。
若菜さんが五目ちゃんぽんを選んだのを横目に、私は日替わり串カツ定食を選んだ。
カウンターに食券を出し、奥の空いているテーブル席へと腰を落ち着かせる。
「ねぇ、湯島くん、ひとりで帰ってきてやたらイライラしてたけど、なにかあったの?」
向かい合って座るとすぐ、若菜さんが身を乗り出し気味に訊いてくる。
「湯島くんが帰って来たとき、ちょうど会議でみんな出払ってたんだけど、私、偶然に目撃しちゃったんだよね……帰ってきて、ダン!って音立ててデスクに荷物置いてさ、それから椅子も勢いよく引き出してどすっと座って。で、思いっきりため息ついたり。契約うまくいかなかったって小耳には挟んだんだけど」
「はい……」
「やっぱり。でも、誰も見てないとはいえ、あの態度はなかったわ……。ちょっとびっくりしちゃったし」