恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました


 普段のお昼休憩から少しずれた時間だからか、オフィスからほど近い人気の定食屋に並ばずに入店できた。

 ランチタイムの十二時に訪れると、お店の外にまで列ができている日もあるなかなかの人気店だ。

 入口から入ってすぐのところで食券を買い求める。

 若菜さんが五目ちゃんぽんを選んだのを横目に、私は日替わり串カツ定食を選んだ。

 カウンターに食券を出し、奥の空いているテーブル席へと腰を落ち着かせる。


「ねぇ、湯島くん、ひとりで帰ってきてやたらイライラしてたけど、なにかあったの?」


 向かい合って座るとすぐ、若菜さんが身を乗り出し気味に訊いてくる。


「湯島くんが帰って来たとき、ちょうど会議でみんな出払ってたんだけど、私、偶然に目撃しちゃったんだよね……帰ってきて、ダン!って音立ててデスクに荷物置いてさ、それから椅子も勢いよく引き出してどすっと座って。で、思いっきりため息ついたり。契約うまくいかなかったって小耳には挟んだんだけど」

「はい……」

「やっぱり。でも、誰も見てないとはいえ、あの態度はなかったわ……。ちょっとびっくりしちゃったし」

< 26 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop