恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「今は、大丈夫です。もともと、最近たまに目眩を感じていて、それもあって急に倒れたのかもしれません」
「そうか。少し前、警察の人間が訪ねてきた」
〝警察〟というフレーズに緊張する。湯島くんのことに違いない。
「母を誘拐しようとしたと言っているそうだ。動機は単なる逆恨みだ」
「えっ……」
彰人さんは警察から聞いた話を私にも教えてくれた。
私が松重不動産を退職後、湯島くんはモラハラが公になり、会社を辞めざるを得ない状況に陥った。
その後、辞職の原因となった私への怒りは増大し、逆恨みからなにかできないかと犯行を計画。その矛先は、私から彰人さんへと向いたという。
しかし、常に秘書が同行している彰人さんやお義父様は狙いにくく、比較的ひとりでショッピングやランチなどで外出する機会の多いお義母様をターゲットにしたのが今日のあの一件だったのだ。
お義母様を狙って大事となれば、間接的に私もただでは済まないはず。命を取ろうという気はなかった。湯島くんはそう話しているという。
「まぁ、計画性に欠ける犯行だったのが幸いだった。でも──」
彰人さんは私に身を寄せ、ベッドに横になる私をそっと抱きしめる。