恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「無事でよかった。あんな……無茶をしすぎだ。里穂子になにかあったら、俺は……」
「彰人さん……ごめんなさい」
私の存在を確かめるように、彰人さんは私を抱きしめてくれる。
私自身も震えるほどの精神状態だったけれど、それを目の前で見ていた彰人さんも相当なショックを受けて緊張感に包まれたに違いない。心配をかけてしまったことを心から反省する。
「でも、無事でよかった。本当に、無事で」
「はい。彰人さんが、来てくれたから。彰人さんも、ケガなどしていませんか?」
そう訊くと、耳元近くでクスッと笑うのが聞こえる。
「ほんとに、君は……自分のことをもっと心配したほうがいい。でも、里穂子のそういうところに惹かれたんだ」
体を離した彰人さんは、ふたたび私の手を両手で包み込む。
そして、愛おしそうな眼差しで触れ合った手をじっと見つめた。
そんなふうに言ってもらって胸がいっぱいになり、ふるふると横に首を振る。
「今の私がいるのは、彰人さんが、こんな私を愛してくれているから。だから、まだほんの少しかもしれないけれど、強くなれたんだって思います」