恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました


 私より一足早く帰社した湯島くんが、オフィスに戻ってもそんなに荒れているなんて知りもしなかった。

 イライラを持ち込んで、あからさまに態度に出ていたなんて。


「で、なんで一緒に出たふたりが別々に帰ってきたの? まさか、出先でけんかでもしたんじゃないわよね?」

「けんかというか……私が、湯島くんを怒らせてしまって」

「え? 怒らせた? なにしたの」


 なにをした。そう言われるとよくわからないのが正直なところ。

 湯島くん的には、私の存在自体に問題があるというのだろう。


「以前、私と組んだ取引がうまくいかなかったこと、あったじゃないですか」

「ああ、中目黒のメディカルビルの?」

「はい。その件もあったし、私と組んだ取引はうまく契約にこぎ着けられないって言われて」


 そう言うと、若菜さんは綺麗な大人女子らしからぬ声で「はぁ?」と声をあげる。


「なにその言いがかり。彼女に言う言葉なの?」

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