恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
若菜さんは唯一、湯島くんと私の関係を知っている。
内緒にしてくれつつ、密かに応援もしてくれているのだ。
「でも、私ももっと協力できることがあったんじゃないかって、思って……」
「なに言ってんの。里穂子ちゃんは十分、十分以上に頑張ってるよ。そばで見てる私がそう思うんだから」
若菜さんの優しい言葉に救われる。「ありがとうございます」とはにかんだ。
「それは、湯島くん言いすぎよ。うまくいかなかったことを、里穂子ちゃんのせいにするのは男らしくない」
「そう、なんですかね……」
「そう。それはダメ」
男らしくない、か……。
若菜さんが結構な勢いで怒ってくれているのを目にして、これ以上報告するのは控えておこうと密かに思う。
田中さんと組めばよかったと言われたことや、まさか、さげまんなんて下品な言葉を浴びせられたなんて言った日には、怒りを爆発させてしまいそうだ。
「まぁ、同じ職場に彼がいるって、よくも悪くも難しい部分があるよね」
そんな話をしていると、五目ちゃんぽん と串カツ定食が運ばれてくる。
「まだしばらくご機嫌はナナメかもしれないけどさ、今晩は夕飯でも作って一緒に食べてさ、そしたらご機嫌も回復するんじゃないかな?」
「はい。だといいんですけど」
「うん。またなにかあったら相談して」
若菜さんは微笑んでそう言い、箸を手に取って「いただきます」と食事を始めた。