恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「あ……お帰りなさい!」
帰社後、湯島くんとは話していない。
何度か声をかけようかと目で追ったけれど、それに気づいてか話しかけるなオーラを放っていたし、すぐに立ち去っていってしまい話すタイミングがなかった。
まだ、昼間のことで私たちの間に流れる空気は悪いままだろうか。
「ご飯、食べる? 今日、オムライス作ってるんだけど、久しぶりに一緒に──」
「よくそんなこと言い出せるな?」
私の声を遮り、そう言った湯島くんは、続けてあからさまなため息をついてみせる。
「今日のことがあって、俺はお前と話す気も、一緒に飯を食う気もない。空気読めないわけ?」
私を横切り、湯島くんは部屋の奥へと入っていく。
空気が読めない発言だと思われたのは心外。
私としては、一緒にご飯を食べられたら話し合いの場を持てるのではないかと、ひとつのチャンスだと思っての提案だった。
せっかくひとつ屋根の下で生活しているのだから、ちゃんと話し合って仲直りしたいと思ったから。
だけど、心が委縮してしまって意見できない。