恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
4、捨てる神あれば拾う神あり?



「ハァ……」


 不動産店舗の前でたくさん並ぶ賃貸物件の情報を見上げ、自然とため息が漏れ出る。

 早いところ新しい住まいを探さなくてはいけないという気持ちはあれども、物件情報を見ている視界はぼんやりと霞んでいる。

 現実的に考えて行動を起こさなければいけないと思う反面、心が追いつけていないのだと思われる。

 だから、こうして物件を見ていても流し見になってしまって頭に内容が入ってこないのだ。


 これからどうしよう……。


 昨晩は湯島くんが出ていってから、しばらく放心状態で動けなかった。

 それでも迷惑はかけたくないと思い至って、そこからやっと荷物をまとめはじめた。

 湯島くんが出ていくと言っていたけれど、彼を怒らせてしまった私が出ていったほうがいいだろうと思い立った。

 それからすぐに荷造りをし、マンションを出たのが二十三時近く。

 とりあえずどこかで夜を明かそうと、駅前のカプセルホテルにチェックインした。

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