恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました


 普通に生きていたら関わることもない上流階級に身を置く人。

 頑張って出会いを求めてみたとしても、そうそうお近付きになれる相手ではない。

 どうしてそんな人とこうして道端で話しているのかも、よくわからない状況だけど。


「図星か」

「……なにも話していないのに、すごいですね」

「まぁ、昨日の一部始終を見ていればな。あとの展開くらい容易に想像がつく」


 あのエレベーター内での出来事を思い返す。

 振り返ってみても、なかなかの言葉を投げ付けられていたと思う。怒って言い返してもいいくらい、ひどくデリカシーのない言葉もあった。


「その調子じゃ、今日は仕事も休んだってところだな」


 自社の上司というわけでもないのに、仕事を休んだことを指摘されるとやっぱりうしろめたい。ずる休みも同然だからだ。


「本当は昨日、あの場で訊こうと思った」

「……?」

「日常的にあんな言葉を浴びせられているのか」

「えっ……」

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