恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「──わかりました。はい……お疲れ様です」
通話が終わり、乱暴にスーツのジャケットのポケットにスマートフォンを押し込んだ彼と不意に目が合い、無意識に口を開いていた。
「お疲れ様ですっ」
今さっきも同じ言葉をかけたのに、思わずまた同じ言葉を口にしてしまう。
鋭い視線を向けられ、ハッと息を呑んだ。
「なんだよ、厭味か?」
「えっ……そ、そんなこと」
彼が相当苛立っているのは、態度と言葉から感じ取れる。
また余計なことを言って気分を害してしまったと、自分の咄嗟の言葉を後悔した。
「前も同じようなことがあったよな?」
私の前を横切り、吐き捨てるように問いかける。
「え……?」
「取引が流れたとき……あのときもお前が一緒にいたよな」
そう言われて、以前の出来事を振り返る。
たしかに、以前も同じようなことがあったなと思い出した。