恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「ところで、なぜひとり分なんだ?」
「……え?」
「一緒に食べないのか」
あたり前のように言われ、再び「えっ」と驚きの声をあげる。
「一緒に、ですか? それは……まったく考えてなかったです。え、だって、それは変じゃないですか?」
「変? なぜ」
「私は、家政婦ですし、家政婦が家主と一緒に食卓につくなんて聞いたことありませんから」
家族でも友人でもない。私はお試しとはいえ雇われている身なのだから、これで間違いはない。
「そうか、なるほど」
筧さんは納得したような、でもなにかが 引っかかっていてすっきりしていないような、微妙な反応を見せて箸を手に取る。
「では、いただく」
「はい、どうぞ」
最初に箸が向かった先は、やはり肉じゃが。ジャガイモとさやえんどうが口もとに運ばれていくのをじっと見つめてしまい、ハッとして視線を外す。