恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
食事をしているのを凝視されるのはあまり気分のいいものではないはず。しかも、そんなことを料理を作った相手にされたら、味の感想を求められているようで窮屈だろう。
口に合うかは気になるものの、ダイニングテーブルを離れてキッチンに入っていく。
まだ片付けの途中だったことから、使った調理器具を洗おうとスポンジを手に取る。
「うまい」
水を出そうとしたところで向こうから声が聞こえ、不意に手が止まる。
つられるようにして目を向けると、筧さんは黙々と箸を進めていた。
味噌汁のお椀を手に取り、次に揚げ出し豆腐へと箸をつける。
よかった……。
食べられないと箸を置かれることがなかったことにホッと安堵し、改めて食器洗いに着手した。