恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
食事開始から数十分後。
「食器洗いは、食洗機を使えばいい。大抵のものは洗えるはずだ」
カウンターに使用した食器を置いた筧さんが、最後の耐熱ボウルを洗っていた私に声をかける。
いつの間にか食事を終えていたらしく、驚いて「あっ」と声をあげてしまった。
「そうなんですね、食洗機で……あっ、片付けは私がしますので」
踵を返してダイニングテーブルに向かう広い背中に声をかける。
しかし、筧さんは私の声に構うことなく食卓をテキパキと片付けていく。
「すみません、ありがとうございます」
「自分が食事をしたものくらい片付ける。食洗機の使い方を教えておこう」
「あ、はい。お願いします」
偏見かもしれないけれど、家政婦を雇うような上流階級の人は、出してもらった食事を摂 ったらそのまま立ち去るのが普通だと思っていた。
いや、むしろそれでいいのだ。たとえふんぞり返っていても、お金を払っているのだからなにもしなくていいのだ。
そんなことを思いながら、食洗機の使い方を教わる。