恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「──あとは、なにか教えておく必要があるものは?」
「えと……とりあえず、大丈夫かと。また、わからないことがあればお聞きします」
教えてもらった操作を、操作盤を見ながら頭の中でおさらいする。
なんとなく横顔に視線を感じて目を向けると、筧さんが私の顔を見つめていた。
「俺がこんなふうに訊くことの意味、わかるか」
「え……えっと」
見つめられているせいもあってか、頭が瞬時に働かない。
「採用するということ」
「あ……」
そうか、だからここの設備についてわからないことはないかと聞 かれていたんだ。
「合格……ということですか?」
「ああ。お願いできるか」
まさか今日即日で採用の可否が出るとは思いもしなかった。
急なことで一瞬口ごもる。でも、すぐに今の自分の状況を冷静に見つめる。
こんなにスムーズに転職先が見つかるのは、とてもラッキーなのではないか。
引越し先も見つけて、新しい住まいも確保しなくてはならないことを考えると、収入が途切れることは痛手だ。
だとすると、ここで家政婦として雇ってもらうことは、今の私にとって最善に違いない。