恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました


「ありがとうございます。では、私もなにかありましたら」


 スマートフォンで見た時刻は、間もなく二十時。

 片付けもひと通り済み、このあともしやる必要があるとすれば、明日の朝食の準備などだ。

 それを考えながら、今晩どうするかをすっかり考えていなかったことに気づく。

 昨日泊まったところにもう一泊するのが手っ取り早いかな……。


「あの、次回伺う日時はいつがよろしいでしょうか? 一カ月後になるかと思いますが、ご希望があればそれに合わせて伺います」

「それに合わせて伺う、とは? 今からどこかに行くのか」

「え? 御用がなくなりましたら、そろそろ帰ろうと思っていますが……?」

「帰るって、どこに」


 そう質問をされて、ほんの一瞬だけ同棲していた部屋を思い出す。

 今はもう帰る場所がないことに少し心細くはなったけれど、仕事は早々に見つけられたし、好調な再スタートだとプラス思考で自分を励ます。


「とりあえず、住まいを決めるまでは昨日泊まったカプセルホテルに帰ります。数日中に新居を決めるつもりです」

「その必要はない」

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