恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
え……?
「それも含め、採用ということだ」
〝それ〟の意味が掴めず、筧さんの顔を見つめたまま首をかしげる。
筧さんは、どこか脱力したような笑みでクスッと笑った。
「まったく……天然の鈍感タイプなのか?」
「えっ」
「だから、君にはここで、住み込みで働いてもらうということ」
「……。す、住み込み!?」
静かなリビングに私の素っ頓狂な声が響き渡る。
私の反応が意外だったのか、不満だったのか、筧さんはわずかに不服そうな表情を覗かせた。
「なんだ、なにか問題があるか?」
「も、問題は大有りです! 住み込みなんて、そんなことはご迷惑をおかけしてしまうでしょうし」
「迷惑? なにがどう迷惑と言うんだ」
「私が、こちらに住むこと自体ご迷惑です」
「部屋もプライベートなものを用意できる。なにも迷惑ではない」
「いやでも、交際もしてない人とひとつ屋根の下に住むなんてっ……」
「なんだ? 襲われるとでも想像したのか ?」
意地悪く笑われ、全身が熱くなるのを感じる。
意識してしまったことを隠すように、横にふるふると首を振って否定した。