恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「そ、そんなわけないじゃないですか! 筧さんがそんなことする人なわけないです!」
「それなら 、何も問題ないな。契約成立だ」
「そう、ですか……」
私の返答を聞いた筧さんは、リビング奥にあるバルコニー付きの部屋へ向かっていく。唯一ベッドが入っていた部屋だ。
「今日は、まだ部屋の準備ができていない。この寝室を使うといい」
「え、でも、それでは──」
「俺はこのあと外出する予定がある。明日、日中のうちに君の使う部屋は調えておくから、今日のところは勘弁してくれ」
寝室のドアを開け放したまま、筧さんは「そういうわけで」と言って玄関に向かう。
「君の荷物を取りにいってくる。それを取ってきたら、そのまま出かける」
そう言って玄関を出ていく背中に「お願いします!」と声をかけるのが精いっぱいだった。