恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
無数の光の粒が眼下できらめくのを飽きずに見続け、どのくらいの時間が経ったのだろう。
こんなごく一部の人間しか望めない景色を一望できる場所に、自分がシャワー後のリラックスした格好でいることが未だにピンとこない。
今朝は、住まいを失い仕事にも行けず、これからどうしようかと途方に暮れていた。
それなのに、急に決まった就職先……。しかも、どうやら住まいまで見つかってしまったようだ。
住み込みの家政婦なんて、漫画とかドラマだけの世界だけの話だと思っていたけれど、筧さんほどの上流階級の人となるとあたり前のシステムなのだろう 。
いつ、どんなタイミングでも用事を言いつけられるというのが住み込み家政婦というものなのかもしれない。
でも……。
窓からそろそろと寝室へと足を向ける。
未だドアを開け放たったままの寝室には、どんと大きなベッドがひとつ。
さすがに、筧さんの寝室を本人の言いつけとはいえ、使わせていただくのは気が引ける。
やっぱりどう考えても使わせていただくには忍びなく、そっとドアを閉めて部屋をあとにした。