恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
5、庇護欲を掻き立てられて──side Akito
再びマンションの玄関を開いたのは深夜二十四時を回った頃。
暗く照明の落とされたリビングに足を踏み入れて、しんと静まり返ったその空間に異変を感じて目を凝らす。
体にかけたトレンチコートを首元まで引き上げ、ソファーの上の横たわった姿。
ぎょっとして思わず足を止めた。
なんでそんなところで寝ているんだ……?
ベッドを使うように話し、本人も承諾した様子だった。
それなのに、こんなところでこんな状態で眠っているとは思いもしなかった。理解に苦しむ展開に頭を悩ます。
これまでの経験上、例えば今日のような展開なら大抵の女性は構わず寝室を使っていたはず。
遠慮……なのか? それとも、よく知りもしない男のベッドには入れないという拒絶なのか。
そっとソファーに近付くと、顔だけ出した状態でぐっすりと眠っている。
よく見ると、ソファーにはバスタオルが敷かれていて、やはりソファーですら遠慮して横になったことを窺わせた。