恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
『お前のせいで全部台無しだ』
言われた瞬間、なにがなんだかわからず頭の中が真っ白になった。
だけど冷静になって、きっとどこにも向けられない感情を彼女である私にぶつけているのだろうという考えに至った。
それなら、受け止められるのは私しかいない。そう思って、彼のどんな言葉も態度も穏やかな気持ちで受け止めたのだ。
あのときのことが鮮明に思い出されはじめる。
「課長も、なんで俺とお前を組ませたんだろうな。お前と一緒にやれって言われて、嫌な予感はしてたんだ」
今回の取引は、課長から湯島くんのサポート役を頼まれ準備の段階から手伝いをしてきた。
渋谷駅から徒歩三分圏内にある土地を持つ売主との契約は、滞りなく順調に進んでいた。
開発が進む駅周辺は地価が上がっているが、売主は先祖代々守ってきた土地に思い入れがあったのだろう。
多くの不動産業者から土地売却のラブコールを受けていたものの、その激戦を制したのは湯島くんだった。