目に視えない私と目が見えない彼
行列はどんどん前に進んでいく。これから私は天国行きか地獄行きかに分けられる。


こんな状況なのに取り乱すことはなく、冷静でいられた。死んだことを冷静に受け入れられている自分に驚いた。

だって、泣き叫んだって生き返れるわけじゃないし、仕方ないよね・・・・・・。


あの子は無事だったんだろうか、
道路に飛び出た少女のことが少し気がかりだった。


行列の先には、大きな扉がみえる。大きな扉の前にはスーツを着た男性が立っていた。


「はい、君は天国」
「はい、君は天国」

「はい、君は地獄。ご愁傷様」


大きな扉の前にいる男性が天国か地獄かを判別しているようだ。並んでいる人達に事務的に淡々と告げていく。

男性に判別を言い渡された人は、その先の大きな扉を開けて中にスッと入って消えていく。

あの大きな扉の先は、天国か地獄か——。
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