目に視えない私と目が見えない彼
守護対象者の大河先輩は、布団にくるまって、まだ眠っているようだった。
カーテンの隙間から差し込む太陽の光で部屋は明るいけれど、彼は起きる気配は全くない。
「うーん」と寝言を呟いて、くるりと寝返りを打った。顔の正面がこちらを向いて、初めて顔を拝むことができた。
「げっ、この先輩、来衣先輩に嫌がらせしようとしてた人だ」
背中を向けられていてわからなかったけど、昨日、来衣先輩に足を引っ掛けようと嫌がらせをした先輩だった。
顔を見た瞬間に、来衣先輩に嫌がらせした時のことを思い出した。今思い出しても腹が立ってくる。
今日は嫌いな先輩の守護霊代行か。
まったく気が乗らないけど・・・・頑張るしかないよね。うん、頑張ろう。
マイナスな気持ちを押し込んで、自分を奮い立たせた。