目に視えない私と目が見えない彼
"網膜色素変性症"

検索欄に入力してエンターキーを押す。
検索結果が、ずらりと画面に表示された。


「網膜色素変性症 ・・・・・・指定難病・・・・・・」


難しい言葉がたくさん出てきた。
『指定難病』その言葉を詳しくは知らなくても、難しい病気だということが理解できた。


「・・・・・・徐々に視野が狭くなり、視力を失うこともある遺伝性の病気で、治療法は確立されていない・・・・・・」


病気の説明を読むたびに、胸が締め付けられるように痛かった。

来衣先輩は、この病気と戦ってる。
ぐっと、唇を噛み締めて涙が出てきそうになるのを堪えた。

私が泣いたって仕方ない。
わかってる。わかってるけど。

なぜだか涙が込み上げてくるんだ。


「・・・・・・夜や薄暗い屋内でものが見えにくくなる」


来衣先輩の言っていたことと結びついた。

表示された長い文章を、見落とさないように一生懸命に読んだ。一語一句、見逃さないように。
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