目に視えない私と目が見えない彼


「俺は・・・・・・俺だって、頑張ってるのに」


今にも泣きそうな顔で思い詰める表情に、嫌な胸騒ぎと、素直に大河先輩のことが心配になる。


美術室の中を見渡すと、床にはビリビリに破かれたスケッチブックが落ちていた。「taiga」ローマ字でのサインに、この破かれた笑顔大河先輩の絵だということがわかった。


今の状況からみると、きっと自分で破いたのかな。
拳は赤くなるほど強く握らていて、やり場のない怒りを拳にぶつけているようだった。大河先輩からは、怖くて嫌な空気が放たれている。
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