目に視えない私と目が見えない彼
「・・・・・・なっ、なっ、なんだよ。いきなり・・・・・・な、なに言ってんだよ?」
大河先輩は私の姿が視えていないので、美術室に来衣先輩と二人きりだと思っている。
当然、来衣先輩が投げかける言葉は自分に向けられていると勘違いして、なぜか大河先輩の耳は真っ赤に染まった。
来衣先輩はおそらく大河先輩の存在に気付いていない。
瞳は私の方だけを見つめている。来衣先輩の瞳には私しか映っていないだろう。
これ以上、私に話かけられたら、大河先輩に不審に思われてしまう。
この状況、どうしたらいいの??
私が、声を出すわけにはいかないし。
来衣先輩、お願い!
それ以上、こっちにこないで!