目に視えない私と目が見えない彼
弱さと本音
大河先輩は急ぎ足でどこかへ向かってく。腕の中には来衣先輩の絵が描かれたキャンバスを抱え込んでいる。
……待って!その絵は来衣先輩が描いたものなんだから。
私は必死に追いかけた。
「・・・・・・な、なんだ。またキャンバスが重くなってきた。・・・・・だ、誰かに引っ張られているような・・・・・」
大河先輩を持ち去るキャンバスを引っ張り、必死に抵抗する。
私にできることは少なすぎて、こうするしか方法が見つからなかった。
そんな私の抵抗など虚しく、力の強い大河先輩は、手を離そうとしない私ごと引っ張って進んでいく。
「…なんだ、よ。なんで、こんなに重いんだよ」
ずるずると引きずられながら、職員室にたどり着こうとしていた。
だめだよ、いいわけないよ、こんなこと。
大河先輩も、後戻りできなくなってしまう、