目に視えない私と目が見えない彼
「闇の感じのコントラストは、凄くいいんだけどな、高校生が描く絵には暗すぎるなあ……。コンテストのテーマは『日常にある幸せ』だろ?」
「・・・そうすか」
「少し手を加えたらどうだ?明日までまだ時間はあるぞ?」
「それは、ダメっす、手を加えられないっすよ」
「そうなのか?少し手を加えたらいい線行くと思うんだけどな」
「……いい線」
「コンテストに出さないのはもったいない。賞を狙える絵だぞ」
やっぱり、顧問の先生から観ても来衣先輩の絵は凄いんだ。
素人の私でも、引き込まれたもんなあ、
……って関心している場合じゃなかった。
大河先輩に視線を向けると、なにか考えているように難しい顔をしている。