目に視えない私と目が見えない彼
「・・・・・・最上の奴探して、手直しさせるんで、明日まで待ってもらっていいっすか?」
「お?なんで最上なんだ?」
「この絵、最上が描いたんすよ」
大河先輩は、引き攣った笑顔を浮かべてそう告げた。
・・・・・よ、よかった。
安心すると同時に全身の力が抜けてその場にしゃがみ込んだ。
よかった、本当に。
なぜ思いとどまったのかわからないけど、大河先輩が盗用しなくてよかった。
「俺、最上探してきます」
そういうと中尾先生に、軽く会釈をしてその場から小走りで去っていった。
大河先輩の足取りは軽く見える。
表情もさっきまでの毒気は抜けているように見えた。