目に視えない私と目が見えない彼

校舎を探しても見つからなかった。

「最上の奴、携帯持ってないとか不便すぎだろ」

ポツリと零した、その意見には全力で同意だった。

しばらく探し回ると、来衣先輩は美術室に戻ってきていた。


走り回って探していた大河先輩は、肩を揺らして呼吸が苦しそうだった。勢いよく美術室のドアを開けると、勢いそのままに言葉を投げつけた。

「お、お前、探したんだぞ?」

「・・・・・・」

「最上、あのさ・・・・・・」

「出せよ、その絵」

「は?」

大河先輩が言葉を遮って、言葉を被せた。
その言葉からは、来衣先輩の絵を大河先輩が持ち去ったことはお見通しのようだった。


「そんな絵でいいならお前の作品として出せよ」

「・・・・・・っ」

やっぱり、来衣先輩にはお見通しだった。
凄いな、なんでわかるんだろう。


「ただ、そんな絵じゃ、賞なんて取れねえよ。
まだ、途中なんだよ・・・・・・でも、俺には描けねえから」
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