目に視えない私と目が見えない彼


「・・・・・・っと、わるい、最上、今日親が仕事終わるの遅くて、下の弟を迎えに行かないといけないんだ」

「ああ、行けよ」

「親が帰ってきたら、また戻ってくっからさ!明日までに完成させようぜ」



そう言い残して大河先輩は美術室を後にした。
私も追いかけた。しかし途中で足が止まる。

来衣先輩、一人だと描けないよね。
行かなくてはいけないとわかってるのに、来衣先輩のことが気掛かりで体が動いてはくれない。
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