目に視えない私と目が見えない彼
「コンテストのテーマは"日常の幸せ"なんだって。未蘭にとって、日常の幸せってなに?」
「・・・・生きてるだけで、幸せだと思う」
死んでる私にとってはそれが本音で、それしかなかった。
生きてるだけで、幸せなのだ。
辛いことも、悲しいことも、死んでしまったら、何も叶わない。
「生きてるだけで、か」
「1日のうちに『これ、美味しい』『このテレビ面白い』そう心が安らぐ時が1度でもあればそれが幸せなんだと思う。だって死んでしまったら・・・・・・(なにもできないから)」
最後に言おうとした言葉は飲み込んだ。
つい、本音が漏れてしまったけど、説教くさくなっちゃったかな。
言った後に気付いて少し後悔する。