目に視えない私と目が見えない彼
「自分は死んじゃったのに、女の子の心配するんだね」

「だって、死んで欲しくないじゃないですか」

「良い人だったんだね〜」


「だった」・・・・・過去形でいうのが気になった。
死んじゃったから、もう人ではないのかな、

「俺の名前は(しゅう)。僕もエリート組だからよろしくね」

「・・・・・宜しくお願いします」

頭が理解するのに追いついてなかったけど、とりあえず挨拶をした。


「エリート組は、天国でも地獄でもなくて、また別の道なんだ。僕と一緒に来てくれる?
これからのこと説明するから」

柊はそう言うと返事をする前に、私の手を引っ張って大きな扉の中に飛び込んでいった。


「え—」突然手を引っ張られて戸惑いつつも、眩しい光で目が開けられなかった。柊に手を引っ張られ、眩しい光の中を進んでいく。

「そろそろ目開けれるよ!」

柊に言われて、そっと目を開けた。

目の前には先程の真っ白な世界とは程遠いテーブルに椅子がズラーッと並べてあり、オフィスのような光景が広がっていた。


・・・普通の会社みたい。



「現世のみんなが働くオフィスみたいだろ?」

見透かされたかのように、私の考えていたことをいうので驚いた。


「普通の会社みたいでびっくりした。ここは本当に、死後の世界なのか疑っちゃうくらい」


「ここは、僕らエリート組が働いている事務所です」

「ここで働く?働くってどういうこと??!
私死んだんじゃないの?」


分からない単語ばかりで、不安な気持ちが押し寄せてきて、気付けば質問責めをしていた。
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