目に視えない私と目が見えない彼
校舎を出ると辺りは真っ暗で、夜はなにも見えなくなる来衣先輩のことが心配になった。
「最上、夜は見えねえんだよな」
「ああ」
「仕方ねえから、送ってやるよ」
私も心配だったので、大河先輩の後ろから何度も頷いて同意した。
「お前の世話にはなりたくねえよ」
大河先輩の前では昔のままのつんけんした態度の来衣先輩。
私の前でみたく、素直に思ってること伝えればいいのに。
「っだから!お前はいつもそう!こっちはもっと、頼ってほしいんだよ。
なんで、頼ってくれないんだよ。壁作んなよ」
そう言った大河先輩は瞳を潤ませていた。
大河先輩は、もっと頼ってほしかったのかな。
「……じゃあ、頼むわ」
いつも以上にボソッとつぶやいた。夜の闇に隠れていたけど、来衣先輩の顔が少し照れているように見えた。